「べつの がわから みる」
内と外の関係性や影について別の側面から物質や空間を捉え、可視化する方法を彫刻を通して
探っています。
例えば絵画は、キャンバスに絵の具が塗られているのか、キャンバスの裏から絵の具が染み出
しているのか。
古代の洞窟に線刻されたその線は岩の内側と外側のどちらに存在しているのでしょうか。
また、内と外の関係だけでなく、影について──例えば、自分の後ろにある木々が風に揺れ、
その影を見た時、実際にその木を見るという経験よりも、私たちに周囲の空間を新たに認識、
理解させるのではないでしょうか。
世界を見るための方法として彫刻が必要なのではないかと思います。
彫刻は私たちの内側(目を瞑ると出てくる暗闇)に形を持たずに存在しています。
何かをつくることは、その瞬間までこの世界になかったものに形を与えて外側の世界に出すこ
とです。
彫刻は私たちが生きているこの世界や状況を、別の側面から捉えて世界に生み出す試みのよう
なものだと思います。
そのようにして生まれた彫刻は、この世界の新たな見方を示すものではないでしょうか。
2023.7 亀元円
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