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展覧会テキスト_小林絵里佳

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[POOL SICKNESS]

ふと感じるプールサイドや更衣室に滴る水の肌触り。
人々の熱気と塩素の匂いが混ざり合い、纏わり付くような空気の中、その不快さに目が回る。
帰りのバスに乗る頃、私は吐き気を催していた。

私にとって、目地や隙間といった汚れが溜まっていく場所は、 特に触れる事を避けたい恐怖の境界線だ。
この狭間を、水質を衛生的に保つ塩素漂白剤で埋めていく事により、安心を得ようとした。
だが、プールではそれが人々と混ざり合い、 その肌触りや匂いで寧ろ安心は不快へと変質してしまう。
また、顆粒の集合体はトライポフォビアの私にとっては恐怖を増長させる。
衛生と安心の存在が一転、不衛生と恐怖の象徴となってしまった。

2022.11 小林 絵里佳

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