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「12の鳩」制作にあたり 吉田晶乃
私は「伝える」ことをしたいと思った。
内容は何でもいい。
言葉の意図はなくとも「伝える」という行為は出来ると思う。
「伝える」ものは互いの存在のようなもの。
私はあなたに伝えようとしている。
あなたは私の言葉を聞き取ることが出来る。
あなたはそれを受け取ることで、私の存在とあなた自身の存在を知る。
一対の交流によってあなたはあなたの存在を知る。
作品はひとつ、観る者は複数。
でも、みんなに話しかけるのではなく、あなたに話しかけたい。
一対の交流をする為に、作品は分身しなければならない。
鳩というアイコンを使うのは皆が知っているから。
平和の象徴であったりスーパーマッケットの看板だったり、公園にいる動物、
トコトコ歩く、バサバサ飛ぶ。
それをきっとあなたは知っているから。
12いる意味もあなたはきっと知っている。12というのは不思議な数字。
たくさんのイメージを内包しているモチーフは、観る者それぞれに多様な姿に映る。
あなたが目にしている作品は、あなたが思い浮かべたあなただけの姿。
10人が観れば作品は10になる。
だから、作品とあなたは1対1の関係を結べる。
発した言葉が「鳩」と「12」であっても問題ない。
あなたにあなたの存在を伝えることは出来ると思う。
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